コーポ北加賀屋に拠点を構える「NPO法人remo」さんにお話を伺ってきました!
remoさんは「記録と表現とメディアのための組織」の略で、その名の通り、メディアアートの表現活動の促進や、地域に眠る記録を掘り起こし、人が話し合ったりつどう場所をつくる事業など、メディアに関する様々な活動を展開されています。
今回はremoの松本さんと餘吾さんにお話をお伺いすることができました。
近くにいたのに、これまであまり接点が持てていなかったので非常に良い機会でした。
今回はこれ機に、北加賀屋を拠点に活動する団体同士、なにか一緒に活動できないかという目論みもありました。
まずは、remoさんの活動内容についてお伺いしました。
(餘吾さん)
昔は、フェスティバルゲートが遊休施設で、大阪市の事業で入居者を探していて、僕はそこに入りました。
そのときに、何人かで映像に関するNPOを立ち上げ、その近辺の映像の記録、調査をはじめました。
特定の地域と関わって活動している事業としては、「remo scope」という映像制作ワークショップや、「AHA!project」という地域に眠る8mmフィルムを掘り起こす活動などがあります。メンバーには古いアパートを改装しアートの拠点として「Breaker Project」という地域密着型アートプロジェクトを展開していたりします。
(松本さん)
NPOという体はとっていますが、活動は個人が表現したいテーマをそれぞれがやりつつ、メンバー内でサポートし合うという感じです。地域との関わりのあまりないプロジェクトも中にはありますね。
remoさんは、それぞれがテーマをもって活動をしている、映像やメディアに関するプロの集まり。
そもそも、何故”映像“で“NPO”なんでしょうか。
(松本さん)
2000年代に入って、映像撮影の技術か一般化した。さらにyou tubeなども普及し、配信も個人レベルで行えるようになった。
これまで映像の世界は「商業」と「アート」しかなかったかが、最近ではその価値で計れない映像の群れが生まれている。
その映像の群れを、ワークショップ、キュレーションなどの知見で解き明かしていくと、社会的な新しい価値を見いだせるのでは、というのがそもそもの始まりなんです。
たしかに「AHA!project」などは、とても面白いですね。
この北加賀屋も、僕らの知らない歴史が映像としてもし残っているなら、是非みてみたい気もします。
(松本)
8mmフィルムを探す過程でみえてくる地域性って結構あります。
浪速区でやったときは、フィルムを持っている人は、元々自営業で儲けていた人が多い。映像機器自体が高価な時代だから、そういう人じゃないと持ってないんですよね。阿倍野区でやったときも、戦火に免れた場所でずっと自営業をやっている人が持っていたりすることが多かったです。
地域が抱えている課題、例えば高齢者の孤立、防災などの地域福祉。これに対して、集めた8mmフィルムの上映会というカタチで、町の人が集う場所をつくることに意味があった。みんなが興味があって出て来れるテーブルをつくることが大切。
外国人や高齢者、若者が集まり、この映像を使ってやりたいことなどを楽しく話し、盛り上がります。
収集ー公開というフェーズから、保存ー活用というストーリが生まれ、地域の関係が築かれていくきっかけになりました。
自分の住むまちの昔の姿やできごと、昔のこどもの遊びなどは、世代を超えた関心事なんですね。
誰でも集まれるテーマってなかなかないと思うので、映像とまちのコミュニティは、とても相性がいいことがわかりました。
(松本)
僕らは、映像をつくることももちろんですが、「みんなで見る場をつくる」ことが大事だと思っています。パソコンで1人で見れるだけじゃ失敗する。もともとあまり価値がない映像を、「価値のあるもの」とするためには、それを見る状況や背景、場所がとても重要なんですね。
8mmフィルムを収集して作った映像作品
農園の活動となにか連携してできないでしょうか?
(松本)
すぐには思い浮かばないけど、「農」ということ自体を一つのメディアとして捉えると面白いかもしれませんね。映像の取り方や編集技術だけを教える、というのは、僕らはあまりやらないようにしています。
北加賀屋には、昔、田園風景が広がっていたと聞いたことがあります。
造船所で働いていたひとたちは、田園を抜けて造船所まで通勤していたようです。
金時ニンジンが、この地域でたくさん育てられていた、ということも聞いたこともあります。
昔の人と今の人が共有していない、この北加賀屋の農というテーマは、もしかしたら新しい地域のつながりをつくるきっかけになるかもしれませんね。