野生のニホンジカを丸一頭、講師と参加者が一緒に解体、調理し、食べるワークショップと学習会を開催します。「シカやイノシシをどうするのか」ではなく、「私たちの社会や生き方をどうするのか」、今年も考えるヒント満載のプログラムです。

今は農地を荒らす「害獣」として駆除される鹿は、古来日本の代表的な狩猟獣でもありました。この会ではまず丸一頭の鹿を皆さんと一緒に解体し、「捕って食べる」という行為をプチ体験して頂きます。

学習会は、第一回から来ていただいている猟師の安田佳弘さん、野生動物研究者の京都大学 農学部講師の高柳敦さんに加え、愛媛からしまなみイノシシ活用隊の渡邉秀典さんをお迎えします。多額の公費を使って大規模施設を作り、集約化・拠点化を進める国策のジビエ振興の流れの中で、渡邉さんのグループはコンパクトな民間施設を経営して軌道に乗せている稀有な例です。瀬戸内海の離島のみかん農家の後継ぎだったはずが、島にイノシシがやってきて人生が一変された経緯も含めて、現場感覚満載のお話を伺います。

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講師 

高柳敦（京都大学大学院農学研究科講師）

京都大学大学院農学研究科講師 かもしかの会関西代表。
専門は野生動物保全学。まだ「獣害」という概念すらほとんど知られていなかった農学部の学生時代にカモシカによる森林の食害を知り、獣害対策研究の道に。関西各県の野生動物政策に関わる。現場主義の実践家であり、動物の生態や現場の状態を考慮した合理的な防除を関西各地で実施している。

安田佳弘（猟師）

１６年前に大阪から三重県いなべ市に移住し、山の麓で妻と７歳の息子と一緒に、ヤギと鶏とミツバチと犬と猫を飼い、田畑を耕し、薪で風呂を炊き、鉄砲と罠で鹿やイノシシを狩猟して暮らしています。キャンプ場でのキャンプライフクリエイターを経て独立し、現在はインタープリター業、アウトドア雑誌への執筆ライター、各種自然体感ワークショップの開催、自然学校の運営、TV・CM等のアウトドアコーディネイター業、幼稚園での講演などを含めたアウトドアクリエイターを生業としています。
醤油、味噌、酢、味醂などの調味料を手作りし、自宅横に夫婦二人で小屋を建てて、雑貨カフェも営んでいます。鹿、イノシシ、山菜、キノコ、魚、カニ、エビ、木の実、鳥、果実、スッポン、山芋といった季節ごとの狩猟採集に、ソワソワする毎日です。
よろしくお願いします。

渡邉秀典（獣肉処理施設経営者・しまなみイノシシ活用隊）

農家として就農するも数年で柑橘をイノシシに荒らされ始めたため、狩猟免許を取得し対策を開始する。防護とともに、その手間の煩雑さから「これは仕事として成り立つ仕組みがなければ農業が成り立たない」と感じ、食肉としての販売を決意。
野生鳥獣との「新しい共生のかたち」を作り上げるために、奪った命を価値ある資源として社会に還元する活動を続けている。２０１７年には松山市内に同様の活動を設立し、２０２０年４月からは３つ目の食肉処理場の指定管理を受けるなど、活動の範囲を広げている。

【主催】
井上不二子 （獣肉販売店「山肉デリ」店主）

2009 年、長野県にて獣害対策を請け負う市民団体に入ったことから獣害問題に関わり始め る。2010 年より解体を伴うジビエ調理体験イベント「野生肉料理教室」を開催。2015 年 8 月、大阪にて都市向けにリニューアルした「大阪野生肉料理教室」を始める。その他出張イベントや受注仕事として「害獣」を使った料理教室や食育活動実績多数。都市住民と一緒に鹿丸一頭を解体し、勉強する「獣をさばく」を2013 年より獣肉と加工品を販売する「山肉デリ」を運営。