みんなのうえんで2016年から続く、手作り無添加の「おひさま醤油(ひなた醤油)」づくり。
毎年、20人〜35人程度の人が集まり「しょうゆ部」として活動しています!
この醤油づくりは、長野県の萩原忠重さんという方が研究と実践の末編み出した方法を基礎としています。時期はそれぞれですが、僕たちは3月から4月ごろに仕込みを行い、そこからおよそ10ヶ月かけてもろみを育て、1月か2月ごろに搾って完成します。
この暮らしの営みを教えていただき、大阪の街のど真ん中のみんなのうえんでも、かれこれ6年も続けています!
なんでそんなにも続いているのかというと、それはやっぱり「美味しい」から。
完全無添加で、使っている原材料も全てわかっていて安心な醤油。
それだけでも大きな価値ですが、美味しいとなおさら辞められません。
出汁醤油のような旨味があって、ちょっと塩味の効いたキレ味のある醤油にはまる人、続出な醤油作りなんです。
今日はそんな、2021年度版のみんなのうえん醤油の搾りのレポートをお届けしようと思います。
2022年2月20日、体の芯まで冷えるような寒さの残る、朝7時ごろから準備がスタートしました。
まずは醤油搾りのためのさまざまな器具をトラックから荷下ろし。荷物をおろしつつ、薪火をつくっていきます。醤油搾りには大量のお湯を使うので、時間のかかるお湯を先に羽釜で沸かしていきます。湯気が立ち上がるとほかほかしていきます。
ところで、この大量の道具は実はお借りしているものです。
おひさま醤油の醤油搾りには、「搾り師」という醤油絞りの技術を習得した方の指導が必要不可欠です。みんなのうえんではスタート時から、三重の菰野町で暮らしを営む「げんげのはらっぱ」の野田哲生さんにお越しいただいています。
はるばる三重から大量の道具を積んでお越しいただいています。本当にありがたい、、。
さらに野田さんは木工家具や小屋大工を本業にされているので、大体のものは作れちゃうすごい手の持ち主。醤油搾りの器材たちもほぼ手作りです。(記事後半で道具も紹介しますね!)
道具のセッティングや湯沸かしがひと段落したのがおよそ8時30ごろ。その頃には今日の参加メンバーも大体集まっているので始まりのミーティングです。火を扱うので火傷や怪我をしないようにの注意喚起と、感染症対策の再確認を行います。今回は手洗い消毒マスクに加え、できるだけ人数を絞って、屋外作業を徹底して行いました。
まずは10ヶ月みんなで天地返しを繰り返し育ててきた「もろみ」をお湯で解きほぐしていきます。水分が飛んで固くなったもろみを緩めつつ、塩分濃度もある程度薄めて整えていきます。最終段階の一歩手前、という濃度を狙って加水するのが職人の技。
子どもたちも手伝ってくれました。みんなで少しずつかき混ぜて、醤油の感触を確かめていきます。
天地返しの度に、少しずつ減っていく水位を記録しています。今年は順調に水分が飛んでくれました。
どんどんお湯が必要になるので、醤油搾りの作業と並行してお湯を沸かし続けていきます。前日に汲み置きしていおいた水を巨大な羽釜に投入。ドラム缶で作ったかまどにもどんどん薪をくべていきます。
醤油の加水ができたら、次は醤油用の綿袋にもろみを入れていきます。これも簡単そうに見えて結構難しい!袋を搾り舟にピッタリサイズになるように上手く折り曲げながら、交互になるように敷き詰めていきます。
とても丁寧に仕事をしていただく野田さん。真剣そのもの。
敷き詰められていく醤油袋。
みんな作業に釘付けです。美味しい醤油を搾るためにとても大切な作業。
ひとつずつ袋にもろみを詰めていくと、次第に自重で搾られた醤油が舟から出てきました!!
1樽目の醤油は発酵が完全ではなかったようで、いつも違い少し色が薄め。粒子が荒いのか袋にも目詰まりしがちでした。こんなことは初めてだったのですが、野田さんに臨機応変に対応していただきました。
さらにどんどんと圧力をかけていき、次々に醤油が出てきます。醤油が溜まってきたら、少しずつバケツに移し、加熱用の羽釜に移し替えていきます。
2樽目の加水前のもろみ。こちらはとてもいい感じの発酵具合でした。
2樽目はいつも通り透き通った醤油だ!一同ほっと胸をなで下ろします。
醤油が絞れたら、搾り終わった醤油袋を舟から取り出します。そして一つ一つ中に詰まった搾りカスを取り出していきます。
みんなで袋をひっくり返していきます!
搾りかすも1樽目と2樽目では一目瞭然の違い。味噌のようなベッチャとしたものと、いつも通りパラパラになるまで搾り切られた状態のもの。味噌のような状態のものは初めてでしたが、これはこれで美味しい。小分けにしてこれも持ち帰ります。料理の調味料や焼き菓子の材料として使います。ふりかけにしたり、麻婆豆腐のとうちの代わりに使ったり。
カスを取り除いた袋はお湯で丁寧に洗います。何年も使い込まれて醤油で染まった袋も良い風貌です。
搾られた醤油は、出てくるタイミングによって微妙に成分が違います。序盤、中盤、終盤をそれぞれグラスに比較用に採取。うーん、今年の1樽目は違いがわかりにくいです。
搾られた醤油は、かまどで火入していきます。この時も一定の温度以上に上げないように、ゆっくり温度を上げていきます。発酵を止めるためではなくて、あくとりや加熱によって生まれる風味を出すための工程です。なので火入した後の醤油も発酵は止まることはありません。ビンで密閉しすぎると爆発してしまうくらいには発酵が続きます。
そうこうしているうちに、美味しそうな料理ができてきました!みんなのうえんの醤油搾りは、搾りをサポートする人、火を守る人、食材の買い出しから料理をする人と役割分担、役割交代をしながらみんなで楽しく作り上げています。今回も豚汁や搾りたて醤油を使った炒め物、卵かけご飯、お餅などなど、豪華すぎるお昼ご飯が食卓に並びました。最高の幸せタイムです。
卵かけご飯は、舟から出てくる醤油をダイレクトにかけるのが僕のこだわりです。笑
今回はなんとビュッフェ形式で、キッチンで各自好きなものを小皿に取って、外で食べる仕組み。本当に贅沢でした。料理チームのスキルに脱帽です。リスペクト。
腹ごしらえも終わって、体力復活。醤油搾りの後半戦もしっかりやり遂げました。そこから後片付けして大体16時ごろに。今回は1樽目で苦戦した分、少し時間がかかってしまいました。
この日のために蓄えた大量の薪たちもすっかり灰に。貴重なアルカリ成分として畑に土壌改良材として活用していきます。
右が1樽目、左が2樽目の醤油です。色の濃さや、濁り方が全然違う!!どちらも美味しいのですが、左が本来の発酵したいつもの醤油に近いです。今回はそれぞれ違うところから麹を仕入れて造ったのですが、出来上がりは想像以上に別物になりました。どちらもしっかり美味しい出来上がりです。
これからおよそ10日ほど静置してから容器に取り分けていくことになります。
今年もたくさんの方の力が結集し、美味しい醤油を作ることができました。自分たちの暮らしに欠かせない調味料をみんなでつくる。こんな大事な営みが都会のど真ん中でもできることに感謝です。
来年もこの醤油づくりの文化を引き継ぎながら、美味しい醤油を造りたいなと思います。また来期のしょうゆ部の募集については、みんなのうえんのFacebookやインスタグラムでお知らせする予定です。ご興味のある方はぜひフォローをお願いいたします。